細野秀雄特命教授を中心とする研究チームは、酸素をわずかに含む窒化ケイ素バリウム(BaSiN₂)という材料を使い、空気中でも安定な「表面エレクトレン」を世界で初めて実現しました。これまでのエレクトレンの大きな弱点だった空気への不安定さを克服し、空気中に1週間さらした後も結晶構造が保たれることを確認しました。
興味深いのは、表面エレクトレンの不思議な性質です。表面に浮かぶ電子が窒素分子に渡ると、窒素分子は表面にとどまり、材料表面は一時的に安定な状態になります。ところが、そこに水素を加えると、窒素はアンモニアへと変わって表面から離れ、表面には再び電子が現れるます。つまり、窒素によって表面が守られ、反応が進むと再び電子を渡せる状態に戻ることが分かったのです。
また、この材料にルテニウム(Ru)を組み合わせることで、従来より低い温度・圧力でも、アンモニアをつくる反応がよく進むことを示しました。さらに、繰り返し空気にさらしても、その性能は維持されました。反応の仕組みを詳しく調べると、30℃でもアンモニアが生成されることが確認され、表面に浮かぶ電子が窒素を反応しやすくするという、この材料ならではの働きも明らかになりました。
詳細は東京科学大学(Science Tokyo)のウェブサイト「みんなの科学ニュース」に掲載されています。